村田諒太の試合後コメント

 2017.5.20に行われたWBA世界ミドル級王座決定戦の話をもうひとつ。

 不当判定については、もうあちこちで騒がれているから、ここでは触れない。話しておきたいのは、試合後の敗者・村田諒太のコメントについてである。

 まず、「勝つことができず、申し訳ありません。」と謝った。自分のことしか考えていない奴には、周囲の応援者に対するこのコメントは出ない。特に、負けた試合直後に「謝る」というのは、なかなかできない。

 その後、「勝った負けたは言いたくはない。自分はジャッジではないんで。」などと言い、決して「本当は自分が勝っていた。」「誰が見ても、本当の勝者は分かると思う。」という類のコメントは吐かなかった。

 本当にたいした人だと思う。私なら、「本当は勝っていた。納得できない。」などと騒ぎ立てていただろう。感服する。

 たぶん、彼はボクシングの権威を落としたくはなかった。当事者である自分がWBAのジャッジを批判すれば、ボクシングの権威を落とし、ひいては今後自分が目指すボクシング世界王者の権威をも失墜させることに繋がると。

 だから、黙って耐えた。言いたいことを我慢して。

 そもそも、私は「本当は勝っていた。」「本当は成功していた。」というコメントが大嫌いだ。では、今私たちが住んでいる世界は偽物か?

 紛らわしい。人生は、一度負けたら終了のトーナメント戦ではなく、勝ったり負けたりするリーグ戦だ(誰の言葉か忘れたが)。

 現に、私のような男も、今回の不当判定のおかげで、村田諒太が好きになった。負けたのも、そう悪いことではないのかなと思っている。

 WBA会長が、再戦を指示したらしいので、次に勝てば全てチャラだ。頑張れ。