村田諒太の判定

 世界初挑戦の村田の試合をビデオでもう一度検証した。判定負けの結果を踏まえてみると、確かに手数が少ない。エンダムのジャブが多い。

 だが、全て村田はブロックしている。よく言われる「効かないジャブでも、たとえガードの上からでももらい続けていると、見栄えが悪い」ということもなかった。

 我々日本人はあまり見る機会がない重量級では、手数が大きな印象を与えるのか?

 そうだとしても、ガードの上から、倒す気もないパンチを出しているだけでポイントもらえるのは如何なものか。これはプロの世界ではないか。倒すのが目的であり、結果として倒せなかった場合に、ラウンド毎のポイントを合算して判定で勝負をつけるのではないか。

 手数は結果であり、倒す力のないパンチを多数出せばポイントになるのか?

 納得がいかないが、村田も手数が少なかったのは事実。なぜ、ジャブを出さないのだろう。ジャブといっても、タイミングをずらす、連発する、コンビネーションに入れる等、合わせれば数種類のバリエーションがある。まっすぐ左を出すだけのジャブは意味がない。

 ちなみに、ジャブが出しやすいのは、右構えの場合(右足を引く)、相手に近いのは左拳であり、相手に当たりやすいから。

 右構えなら、その左で左フックが欲しい。サンドバックでも叩いたことある人なら分かるが、左フックは左足を前に出しているから踏ん張りが効きやすいので、出しやすい。

 まして、右ストレートが得意なら、打った返しで左フックが欲しかった。右に移った体重を左に戻す意味でも。

 アマチュアで頂点に立った人だから、私には分からない何かがあるのだろうか。

 ちなみに、よくボクシングの試合を観ていて、あまり積極的でない試合の時、「もっと手だせよ!へっぴり腰でみっともない」と感想をもつ人もいるけど、あれは、単純に「相手が怖い」んです。前のめりにいけない。「相手は強い。やばい。」と本能で感じてしまっているから、腰が引けてしまう。

 そりゃそうだ。自分と同じように「このヤロー、殴り倒すぞ!」と思っている相手の前に、やすやす顔近ずけたら、パンチもらっちゃうよ。これは、実際にリングに立ったことある人でないと理解できないかも。

 ボクシングは技術を競うスポーツではなく、格闘技なので、相手次第でいくらでも結果は変わる。気合いが充実している、慢心している、色々な精神状態がありますから、人間対人間は面白い。

 ちょっと、議題ブレブレになってしまったが、とにかく、ボクシングは好きです。